「とどかない声」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

とどかない声」(2009/11/29 (日) 23:19:48) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「うっは。兄貴もやるなぁ……っくくく」  下卑た笑いを浮かべた青年は、笑った拍子にずり落ちたコップを拾い上げた。 彼の名は、右代宮留弗夫。色事に興味津々夢一杯の思春期ボーイ。 今宵のターゲットは新婚一発目の兄夫婦。 壁一枚隔てた先では彼らのイチャイチャパラダイスが広がっている。 これを見逃しては男が廃る。だからこうして、空き部屋にて盗み聞きの真っ最中と言う訳だ。 「さーて続き、っと……ん?」  楽しみすぎてコップ跡のついた右耳を外し、向きを変えようとした。 すると、先程までは気付かなかったが、奇妙な音が聞こえてくる。 ふと興味に駆られ、留弗夫はコップをベッドサイドに放って部屋を出た。 「ふぅ……は。はぁあ……」  女の荒い吐息、最初は兄嫁・夏妃のそれかと思ったが、 声の調子が違うし、何より部屋が違う。 「こっちか?」  そこは、先程まで留弗夫の篭っていた部屋から兄夫婦の部屋を挟んで隣部屋。 やはり空き部屋だったはずだが。 「っは……んぅうう……ッ」 「あ……あ、姉貴!?」  てっきり使用人連中がやらかしてるのかと思っていた。 あわよくば更なるお楽しみが、などと企んでいた留弗夫にとって、 あまりにも予想外な人物がそこにいた。 「うお、生オナかよ……まーじでぇ?」  地べたに足を投げ出し、己の指で身体を慰める姉の姿。 インモラルな光景に、うっかり興奮が高まる、が。 「はぁ……あ、にぃ……さぁあんっ」  切なげに呼ぶ声に、理性が砕けるのを感じた。 ドアを蹴り、中へ押し入る。 「いい格好だな、姉貴ィ?」 「ヒッ、あ、る、留弗夫ッ?な、わ、私は、あの」  肌蹴た胸元を押さえ、取り乱す姉に 「兄貴達がよろしくやってんのをオカズにしてたんだろ」 「なっ」  弟の言葉に、硬直してしまう絵羽。留弗夫は構うことなく彼女の元へ歩み寄った。 「おーおー、やっぱでけぇなぁ。どれどれ」  後のおっぱいソムリエたる留弗夫にとって、触診は重要なのである。 「ひぐっ、や、やめなさいッ……!」  乱暴にその豊かな乳房に掴むと、絵羽は弱々しく抵抗した。 「まったまたー。乳首ビンビンじゃねーの」  留弗夫は構うことなく、そそり立った先端を指で捻り上げる。 敏感な部分への刺激はストレートに絵羽を襲った。 「ひぁ……!や、やめ……んぐむぅッ!?」  懐から、ハンカチを取り出して口を塞ぐ。 「声、兄貴と夏妃ねーさんに聞こえたらまずいだろ?」  怒りと怯えで顔を赤くしたり青くしたりしていた。 そして、視線は目前の自分とは違う方へ。 兄夫婦の寝室に向かっていた。  苛立ちで眩暈がした。姉はいつもそうだ。 兄貴の陰口ばかりなのは、認めて欲しい、自分を見て欲しい願望の裏返し。 気付いていないのは本人達だけだ。自分は傍観者に過ぎなくて、見ていることしか出来ない。 何をしたって、こっちを向くこともないのに。 それがどうしようもなく悔しかったんだろうと、人事のように思った。  両手首を押さえつけて、馬乗りになる。ようやく状況に気付いたらしい。 お気楽なことだ。改めてその身体を見つめてみた。 自ら慰めていたおかげで、そこには雌の匂いが充満していた。 「こんなに濡らしてまぁ。結構爛れてンのなぁ」  思ってもいない揶揄を投げつける。 こんな醜態を晒してしまうのは、それだけ一途で、どうしようもない馬鹿だって知っている。 「んー!んっ?ぅうううっ、うっむぅう!」  抗おうと必死に身体を動かすが、女の細腕を押さえつけるくらい、どうと言うこともない。 「これならもう突っ込んでもいいよなァ」 「!?ん!ンンっ、むぅううううーっ!!」  端から喜ばせてやるつもりなんてない。 さっさとズボンを脱ぎ捨て、その肉棒を無遠慮に押し込んだ。 「っひ、っぐ、うぐうぅぅっ、ぎぐいいぃッ!!?」  くぐもった悲鳴と共に、散った純潔の証。内股へ落ちて行くそれに少しだけ見惚れた。 「んんんんッ。ん、っぐぐふううぅうっ」 「ほれ、動くぜぇ!?」 「っぐ!?んーっ!んんううーーッ」  動くたびに、中でぶちぶちと肉の裂ける音がした。 既に濡れていたとはいえ、そこは誰にも許されなかった場所。 一気に貫かれ、そして今も動くだけで抉られる痛みが絵羽の全身を襲う。 彼女はもがき、そして一層身体を苛む苦痛に弄ばれるのだった。 「っぐ、うッ。うう、っぐぅう!んーッ!!」 「うるっせぇんだよ!」  苛立ちを込めて、より強く身体を抉る。びくびくと震える絵羽。 終わらない痛みと屈辱に、ただ咽び泣くことしか出来なかった。 そして。それでも、やがて強くなりつつある快楽に気付き、愕然とした。 「んっ……ふぅ……ううっ……」 「なんだ、ギャアギャア言ってる割に感じてんだな」 「っむ!うーッ!んんんんっ」  いやいやをする様に首を激しく振る絵羽。 受け入れられない現実に、身体と心がはちきれそうだった。 「別にいいよな、中に出しても」 「ッ!?ん、むむぅ!んーっ」  留弗夫の言葉の意味に思い当たり、それだけはやめて、と目で訴えかける。 だが、彼は冷たく笑い、懇願を切り捨てる。 「いいじゃん、だァいすきな兄貴と同じ血が流れてるんだしさぁ」 「うううっ、ひうぅう……」 「ってか、もう無理だわ。出る」  軽い言葉と共に、熱く迸った暴徒が絵羽の奥深くまで犯していく。 「う、ううぐっぐぅうう!!んんーーッ!」  誰にも届かない叫びも、何もかも。熱で溶けて、消えてしまえ。  じゅるり、とぐちゃぐちゃになった絵羽の身体から自身を引き抜き、身支度を整える。 絵羽の面倒も見るべきか、と手を伸ばすとはたかれた。 涎と涙の染み込んだハンカチを引き抜きながら、姉は恨みがましくこちらを見ていた。 「うっ……ううっ、留弗夫、あんたぁ……」  その言葉は弱々しかったが、抗う姿に彼の嗜虐心は刺激された。 「姉貴、処女だったんだなァ」 「何を……ッ私は右代宮家序列第三位のっ」 「おーわりーわりー。ひとりであんだけ盛り上がってたからさー」 「っく、うっ……うう、うぁぁあああ……ッ」  屈辱的な発言に耐え切れず、零れた涙と嗚咽に絵羽は身体を折った。 てっきり平手の一発でも飛んでくるかと思っていた留弗夫はあっけにとられてしまう。 「辛気臭ぇな。……おやすみ、姉貴」 彼女から目を逸らし、留弗夫は部屋を出た。 絵羽の涙から逃れるように。  留弗夫は部屋を出ると、ポケットを探る。手には最近覚えた火遊び。 一息に吸い込み、煙を吐き出す。 「は。最低だな、俺は」  胸に渦巻く罪悪感。 そのくせ、どこか充足を覚えた自分に、自己嫌悪。 その繰り返しで、ひどく虚ろな気分だった。 紫煙が目に染みて、何故だか泣き出しそうだった。  痛い。痛くて痛くて、辛い。 「ううっ……っひ、ふぅうう……っ」  涙が止まらない。なのに、どうして。 「どうして、とまんないのよぅう……ぅあぁぁぁ……っ」  指が、涙が、止まらない。 「ふ……んぁ……はぁ……っ」  身体が疼いて。指が零れ落ちた体液を掬い、肉を抉り、身体を震わせる。 留弗夫が落としていったハンカチを自ら噛み締めて、声を抑える。 惨めだった。  隣室では、兄夫婦が深く情愛を交し合っているというのに。 「うく……ッ、う、あぁあ……っ……!」  体中から、涙が零れて絨毯に染みを広げていく。  夜はまだ、終わらない。 ---- #comment_num2 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: