おじやしげきの図書館島(仮)

夏といえば恋だなんて誰が決めた

 Theme「夏といえば恋だなんて誰が決めた」
 writer「あるれん」
 key word「美少女ゲーム」

――いやー、私にも経験がありますよぉ。懐かしいですね。この曲を聴くたびに思い出します。
――へーぇ、聞きたいなぁ。どんな話?
――私も若かったんですよ……ふっ。
――あれ、お幾つでしたっけ、今。
――……はいっ! それでは本日のリクエストコーナーは、『夏といえば恋』。次のリクエストに移りましょう!
 松本が教壇の上に置いた、携帯型FMラジオの雑音を聞き流しながら、僕は溜息を吐いた。突っ伏した教室の机から、夏に特有の生ぬるい感触が伝わってくる。
 教室には、僕と松本を除いて誰もいなかった。期末試験が終わり、皆友人や恋人たちと、どこなりへと散り去った後だ。微妙に乱れた机には、まだ彼らの存在感が残っている。
 全開の窓から吹き込む風が、カーテンを乱暴に翻した。見上げる空の彼方には、入道雲。夕立でも降ればこの暑さも少しはマシになるかもしれない、と僕は思った。
「なーぁ、松本」
「何だね、高橋少年?」松本は欠伸交じりに応えた。
「どうでもいいんだけど、そのラジオは何かの嫌がらせ?」
「何のことやら」
「とぼけるなよ。何だって僕らみたいな、高校一年の夏休みを目前に控えているにも関わらず、周りに女の子の一人もいなければ憧れの先輩もいない、どうしようもない人間がそんな……」僕はラジオを指差す。「美しき一六歳の夏休みの典型を垂れ流す番組なんぞ聴かねばならんのだ。腹立たしい。実に腹立たしい」
「しかも無人の教室で、男二人で」
「ああそうだ。二人きりの教室なんてなぁ、男女ならすげー美味しいシチュエーションなのに、お前なんかと二人! しかもこの清々しい夏の空を見ろ! そしてラジオの特集は夏といえば恋……こんな悪質な嫌がらせが他にあるか? おかしい、絶対におかしい。世の中何か間違っている!」
「落ち着きたまえ。何も女の子とにゃんにゃんするばかりが青春ではないぞ、高橋」
「だが、世間でそう考えられているのは事実だろう? 誰もが持っているんだ。甘酸っぱい青春の思い出ってやつをさ。んでそいつを大人になってから思い出し、あの頃は若かったって笑うんだ。世間一般ではね。
 でも、僕らはどうだ? 僕らのライフスタイルがそこまで奇異だとは思わない。考え方にしたって普通だし、実に普通に一六歳やってるんだ。なのになぜ、普通に青春できないんだ?」
「ふむ、なかなか根の深いようで浅い、つまり暇潰しには面白そうな話じゃないか」松本は腕時計を一瞬見やり、ラジオのボリュームを落とした。そして教卓の上に座って足を組んだ。「ひとつ、この俺に詳しい話を聞かせてみないかね、高橋?」
「偉そうだね、相も変わらず」
「ああ、報酬は青春の味、カルピスでいい。冷えたのを一本な」
「断る」
「じゃあ何か、君の股間のホットカルピスでもくれるのかね。いやだねぇ、俺にそういう趣味は無いぜ、高橋少年? まぁ、君が相手ならば、せめてその純情に誠実をもって応えるにやぶさかではないが」
「死ね。死んでしまえ」
「冷たいなぁ。シロップなしのかき氷のような男だね、君は。まぁ、それはともかくとして」松本は欠伸をし、長い脚をを組み替えた。「君は恋をしたことがあるかね?」
「無いよ」
「奇遇だな、俺もだ」松本は腕を組み、その間に視線を落とした。「つまり一言で表すなら、問題外なのだな。君には、求める青春に向かっていくための駆動力が存在しないのだ」
「そうかもしれないね。世間一般の誰もが抱いたことのある感情を、僕は、一度も持ったことがない。何でだろうね。僕はそんなに変人に見えるかい?」
「無自覚の変態には見えるがね。いい加減気付きたまえよ、愛に性別など関係ないと」
「僕は一般的な異性愛者だよ!」
「まぁ、君の性癖など俺にはどうでも良いのだがね。だが……ふむ、大体理解した」
 そう言うと松本は教卓から飛び降り、教室の隅に無造作に放り投げられた自分の鞄を掴んだ。
「理解したって、何を?」
「君の抱える精神構造上の問題点さ。つまりだね、君は齢一六にして未だ恋という感情を知らず、それが自身と世間一般との致命的乖離を証拠付けるものだと考えている。
 君の中には、自分は人とは決定的に違うのだという意識があるだろう。それも、若者にありがちな根拠のないな自信、即ち『俺はやればできる』だとか、或いは自分の深慮遠謀は誰にも理解されないという単なる馬鹿の勘違いではなく、もっとどうしようもない種別のものだ。換言するならば、『自分は人として劣っている』という意識だ。だから自分の行く先に不安を感じ、あろうことか劣っていない事物への攻撃までする始末だ。夏の空はイノセントだよ、高橋少年」
「そうかな。そうかもしれない。でも、理解したって解決したことにはならないぞ?」
「話は最後まで聴きたまえ。そこで俺は考えた。君に必要なのは『逃避』だ。劣等感の埋め合わせをしてくれる何かしら、だな。そして俺は、この世で最高の逃避手段を提案することができる」
 松本は鞄の中に手を突っ込み、何かの箱を取り出した。妙にデフォルメされた、ファンシーな絵がプリントされている。一瞬見ただけでは何の絵か分からなかったが、よく見るとそれは、四、五人ばかりの女の子の絵だった。現実離れした髪と瞳の色だ、と僕は思った。まるでかき氷のシロップのように。そして何よりスカートが短い。
「何だ、これは」
 唖然としながら尋ねた僕に、松本は自信満々と言った体で、胸を張って答えた。
「見ての通り、美少女ゲームだ」
「……は?」
「ちなみに彼女は俺の嫁だ」箱の真ん中右寄りに描かれた女の子を指差し松本は言った。「可愛いだろう?」
 夏の空のように弾けた笑顔の彼女は、やっぱりスカートが短かった。

  Next Writer「横浜 県さん」
  Next Key word「純情な劣情」

  writer「横浜 県」
  key word「純情な劣情」

 「二つ訊ねたい事がある」
  男同士で居残った暗く暑い教室。彼が誇らんとばかりに差し出したゲームのパッケージを、僕は呆れたように見やる。
 「何だい高橋少年? 気兼ねなく聞いてくれたまえよ」
  てんで僕のリアクションを捉え間違っている。松本はそうとしか思えない風に大きく腕を広げて見せた。
  「まず、お前はいつからオタクになったのかと言う事。重ねて、二次元に逃避するなんて、お前は虚しくないのか?」
  「ハッ。愚問だね高橋。どちらも答えるのは簡単だ。前者に対しては、去年の夏頃だと言っておこう。当時の俺は、今と同じく青春を求めてフル稼働していたのだよ。後者は、勿論だが充足感を得られているよ」
  「恋を探し求めた結果失敗して、二次元へ没頭する事を何とも思わないまでに落ちぶれた、ということか?」
   溜息を洩らしつつ返すと、松本は嘲笑を持って答えとした。
  「君は少し短絡的な思考を持ち過ぎている。美少女ゲームをやっていれば即ちオタクであるだとか、三次元で恋の出来無い男達が現実から目を逸らしているだけなのだとか、そんな妄想を抱いている様じゃあ片腹痛いぞ高橋少年」
  「分かったよハイハイ。でも、それならお前が美少女ゲームをプレイする理由が見当たらなく無いか?」
  「笑止。リリシズム溢れる斯様なゲームに身も心も奪われずにいられるものか。俺の感性は決して鈍ってはいないのだよ。実に趣深い物へ反応を示したものだね全く」
  「ちょっと待て、こんな如何わしいソフトのどこが情緒に溢れているんだ?」
  「君には理解出来ないと言うのか高橋? 可哀想な事だ。試しに俺の嫁を見てご覧よ」
   彼は再び、箱に描かれた少女の一人を指差した。彼女の穿いているスカートには、短いにも程があるだろうと突っ込みをいれたくなる。今にも風で捲れて、中身が見えてしまいそうだ。
  「ほら、彼女の笑顔をじっと眺めてみるんだな。実に癒される表情ではないか。このゲームでは、どこまでも純情で、決して白く穢されない彼女との学園生活を送る事ができる。万札を叩いても尚足りやしないとは思わないかい?」
   万札? まさか美少女ゲームって高価なのか? たかだか模擬恋愛のために大金を犠牲にできる精神には脱帽だが、何だか彼の漂わせる潔さが気に喰わないので、冷やかしてやる事にした。
  「例え彼女が如何に純情だったとしても、どうせお前は下心に塗れているんだろう? キスやら何やらの、彼女とにゃにゃんするシーンにしか興味無いんだろう?」
  「なっ! そ、そんな事は無いぞ高橋っ! 俺の恋心だって常に純情まっしぐらに決まっているだろうが――」
   僕は彼の言葉を遮り、耳元へ口を近付けて囁いた。
  「この劣情野郎め」
  「何を言うか高橋幼年!」
  「噛むなよ」
  「う、すまない高橋。まぁ兎にも角にもだぞ? 俺は彼女を心底愛している。純情な彼女をだ。もし俺の淡い恋心が汚辱で満たされていたとしても、彼女の可憐さはそれを補って尚余りある! そうだ、俺の気持ちは純情な劣情なんだ!」
  「いや純情な劣情って矛盾してるから」
  「だ、ダブルバインドッ!」
  「それも意味が違う」
   どうやら、松本はかなり困惑して来たらしい。時折両手を頭に添えては唸っている。詰まる所、彼はZ座標を自ら捨てた事を後悔しつつも、それを認めたくないのだろう。普段は小難しい事ばかりを考えている厭味な奴なのだが、素直になれないだなんて、可愛い所もあるではないか。
   独り勝手に感慨へ耽りつつ、僕は壁の時計を見やった。短針が既に半周している。床に置いていたエナメルの鞄を手に取り、肩へ掛けた。「そろそろ帰るぞ。腹も減ったし、かき氷でも食うかな。コンビニ行こうぜ」
   僕が帰り仕度を始めた事で我に返った松本は、慌てて教壇に放置しっぱなしだったラジオを回収し、彼も自身の鞄を背負った。
  「お願いなのだが、カルピスを奢ってくれないか高橋少年――」再びのおねだりに、僕はしばし逡巡する。「――原液で」「ふざけるな」少しでも譲歩しようとした僕が馬鹿だった。
   去り際、窓から眺めた空に、もう入道雲は見えなかった。気付かぬ合間に、僕達の頭上へと到達していたらしい。念の為にと、誰のとも知れない紺色の傘を拝借する事にした。

  Next Writer「えむやんさん」
  Next Key word「喪失感」

  writer「えむやん」
  key word「喪失感」

   カンカンカンと、階段の滑り止めに打ち付けたシューズが響く。
  そういえば、僕はなにかスポーツがやりたかったのではなかったか。乾いた金属音に聞かれた気がする。
  松本との会話に刺激されたのか、青春の勢いを向けどころなく彷徨わせている自分に気づく。
  些か以上に腹立たしく思い、追いかけて来る松本の廊下を駆ける音に、ふたたびカンカンと靴底の相打ちを入れ、引き離す。

  階段で一人の女生徒とすれ違う、石鹸の香りしかしない髪がなびき、ふと懐かしい思いがして振り返る。無造作に纏めたあの長髪は誰だったか。
  「(えっと風紀委員の...)」
  欠席裁判で風紀委員にされた、目立たない女生徒、どうしても名前が思い出せない...。
  踊り場から見上げると、スカートはきっちり校則の長さを死守、女生徒の膝上ぴったりで踏みとどまり、露出を断固拒否していた。
  そして、どうしても名前を思い出せない。
  「(青春を楽しむ努力を怠ったってとこか。)」
  委員を押し付けられた垢抜けない彼女も、男二人で間違った若さの使い道を指摘し合う僕たちも、楽しむ努力が足りなかったのではないだろうか。

  そんな自問とともに、忘れかけた友人の名を、思い出した。
  さっきまで走っていた奴が、いまだ階段にも現れない...。
  「(まったく、どう..)」
  「どわぁ!」
  「わきゃ!!」
  「(しりとりかよ、お前ら!!!)」
  下を向き、首を傾げながら階段に向かう松本が、出会い頭に女生徒とぶつかった。
  二段飛ばしで駆け上がって、後ろへ倒れかけた女生徒の背を押さえる。
  「う......あ、ありが、とう......」
  真っ赤な顔をした女生徒を階上へ押し上げ、代わりに松本の方を睨みつける。
  「どうしたんだよ、急に考えごとなんて始めやがって。」
  「あぁ、すまない高橋少年。急に言い知れぬ喪失感のようなものを覚えてね...。
   なんだか思い出す為に冷たいカルピスを・・・」
  「奢らない!人前で勘違いされるような言い方をするな!」
  横で女生徒が、口を覆ってクスクスと笑い出した。
  「二人とも、正門は閉まったわよ?
   わたしも傘を取ったら帰るわ、急ぎなさい。」
  「あ、あぁ...。」
  「ふふ、分かっているとも。」
  良い笑顔で笑うんだなと思ったが、となりで突き落とし犯が不遜に笑うのを見て、すぐに熱は冷めた。
  とっとと、こいつを連行して校舎を出よう。被害者は少ないほうがいい。

  一階まで降りると、また後ろから声が掛かる。
  「なぁ、高橋少年...」
  「なんだ、何を失ったか分かったか?」
  「うーん、未だ解に辿り着けずなのだな...。」
  首を傾げる松本を見て、僕は一人合点がいっていた。
  「おまえ、あのエロいゲームは?」
  「エロゲじゃない!美少女ゲーム!!
   って、あぁ!僕の嫁が居ない!!」
  思い当たる節は最初からひとつしか無かったわけだ。
  「そういえば、机の上にどうどうと置いてなかったか? あれって...」
  「ぎゃー!僕の嫁が!!
   というか、高橋少年!なぜもっと早く言わない?」
  頭を抱えて行き過ぎたリアクションを取る松本を見下ろし、
  のんびりと一段づつ階段を引き返す。
  「まぁ、いいか。さっきの子も知らない子だし、誰にも見られまい。」
  松本がつぶやく、背筋が一気に冷えるのを感じた。
  「は?彼女はうちの風...」
  予感に衝き動かされて、急いで階段を駆け上がる。
  傘を折れるほど握り締めて、渾身の3段飛びで教室へと急いだ...

  Next Writer「おじやしげきさん」
  Next Key word「探し物」

  writer「おじやしげき」
  key word「探し物」

  息が切れつつも教室の前。松本は僕の後ろでハァハァしている。決して興奮しているわけではない。多分。
  「た、高橋少年、なんで、急に、走り、出したんだ……?」
  「いや、正門閉まったって言ってただろ? 早くしないと回収できなくなるぞ?」
  「ああ! そうだった! 僕の嫁! WAWAWA忘れも……」
  言わせねえよ! と松本にかました回転蹴りの反動で戸が開く。そこには松本のエロゲーと……
  「きゃあ~~~~~~~!」
  悲鳴を上げる一人の少女。明らかにウチのとは違う制服。その髪の色はまるでかき氷のシロップのように現実離れしたものだった。そしてそのスカートは……やはり短かった。
  「え、ちょ、あ、あんた……」
  「なんで? どうして? ここに人が来るなんて考えられないのに! 」
  この娘、誰だろう? とか思ってる横で何か喚いてる。
  「あんたたちもう正門閉まったって言ったでしょ? なんですぐに帰らなかったの?! ああ、風紀委員の趣味がコスプレだなんてばれたらクラスメイトにどう言われるか……」
   え、今なんて……。
  「もしかして……君、風紀委員の??」
  「な、ななななんの事かしら? 私はただのこの学校に勝手に入った…」
  「それはそれで110番! そもそも自分で風紀委員って言ってるし! 6行前ぐらいに!」
  「な??」
  その場で崩れ落ちる少女……いや、風紀委員。いや、そんな露骨にもう駄目だ、みたいな空気出さなくても。
  「イタタタタ……ちょっとしたジョークじゃないかそんな本気で蹴るなよ高橋少年……」
   あ、松本起きた。
  「ん、どうした高橋少年……っておお?」
  「な、何よあんた……」
  起きてすぐに風紀委員に顔を押し付けるように近付ける。おい、ちょっと引いてるじゃないか……。
  「こ、これは見紛うことなき俺の嫁! ……のコスプレ!」
  松本が風紀委員のコスプレを舐めるように覗きこんで、しきりに頷いたりしている。品評家かお前は。
  「フム、なかなか良いコスプレじゃないか。作りもちゃんとしてるし、こんな夕焼けの映える教室を選んで撮影してた、ということは相当ゲームをやりこんでるんじゃないかな?」
  「え? た、確かにそうだけど……というかなんでそこまで!」
  「ふ…… 2週間、朝から晩までやりこんでいた僕をなめてはいけないよ、キミ」
   じ、自慢できることではないぞそれは。というか2週間学校休んでたのってこれが理由だったのか……。駄目だこいつ早くなんとかしないと。
  「あのゲームの名場面、夕焼けの映える教室、主人公が、忘れていった漫画の原稿を取りに戻ってきた女の子と鉢合わせしてしまうシーン! このシーンを忘れる訳がないだろう?」
  「た、確かにそうね……。このゲームの見せ場の一部ですもんね……」
   そ、そうなのか……。全然話についていけないんだが、とりあえずはかなりの名シーンを再現しようとしてたらしい、ということだけはわかった。
  「と、ところでこの後どうす「ちょっとお願いしてもいいかな?」」
   急に割り込んでくる松本。その表情はさっきまでとは違う真剣なもの。そんな真剣でも僕のセリフ飛ばすのは駄目だぞ松本! ただでさえここまで存在感があんまりないのに!
  「あ、あのさ、一緒にゲームを作らないか?」
  「「はぁ?」」
   夕暮れの教室、二人の男女の声がハモる。そんな突拍子もないことを言ってきたんだから仕方ない。というかゲーム? を作る? どうやって? 何夢物語言ってるの?
  「シナリオの構想はできているんだが、メインヒロインのイメージができてなかったんだ。その探し物が今日、やっと見つかったんだよ。なあ、頼む。俺の夢のために協力してくれ!」
   そ、そんなこと言ってもそうやって作るのかも全く分からないのにどうしようも……
  「そうか、そうだったんだね…… わかった、私、協力してあげる」
   風紀委員のっかってきてるし! しかもなんか『声優に憧れてたの!』みたいな感じで瞳を輝かせてるし!
  「と、というかどうやってゲーム作るんだ? 絵を描く奴もいないだろうし、そもそもプログラミングできるやついるのかよ?」
  「何を言っているんだ高橋少年。プログラミングは君がするんだよ、高橋少年」
  ……今、なんと?
  「まあいいんじゃない? 美少女ゲームのプログラミングなんて簡単にできるらしいし」
   僕がプログラミング? そんなのできるわけ……。
  「理想の甘酸っぱい青春の思い出がなければ作ればいい。そうは思わないか? 作ろうじゃないか、僕たちの理想の甘酸っぱい青春の思い出ってやつをさ」
  「やる前からできないってあきらめちゃ、何にもできないよ? まずは一歩、進んでみなきゃ」
   女の子とにゃんにゃんするばかりが青春ではない、か。まあ、このゲーム作りに青春をかけてみるってのも面白いかな。
  「なあ、松本」
  「ん、どうした高橋少年」
  「途中で投げ出す、ってのはなしだぞ?」
  「ああ、そのへんは大丈夫。10月のイベントにもうサークル参加の申し込みしてあるから。出さないといけないんだよ」
   ……今なんと?
  「10月……ギリギリね。すぐにやらないと間に合わないかも……」
  「よし、早速明日から作業開始だ。忙しくなるぞ」
   ……この夏休みはゲーム三昧になりそうだ。

  夏と言えば恋と誰が決めた。ゲームを作りながら探し物を見つける夏があってもいいじゃないか。


           ~fin~


初のリレー小説inToMiCo。自分が起承転結の結だったわけですが、他の3人の作ってきた世界をぶち壊すような結果になってしまって自己嫌悪orz

まあ、楽しかったしいいかw

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最終更新:2009年08月06日 22:23